相続・資産税コラム
相続税を計算した後、下記の減免(控除)制度があります。
①配偶者の税額の軽減
配偶者の税額の軽減とは、亡くなった方の配偶者が、遺産分割や遺贈により実際に取得した実際の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額
つまり、遺産の半分を取得した場合は、配偶者は課税されません。遺産の半分以上を配偶者の方が取得しても、その金額が1.6億までは無税です。
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
したがって、相続税の申告期限までに配偶者に分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。この点は、非常に要注意です。
ただし、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。
なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。
②未成年者の税額控除
相続人が未成年者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引けます。
未成年者控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。
(1) 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人又は、日本国内に住所がない人でも次のいずれにも当てはまる人
イ その人が、日本国籍を有している。
ロ その人又は被相続人が、相続開始前5年以内に日本国内に住所を有したことがある。
(2) 相続や遺贈で財産を取得したときに20歳未満である人
(3) 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
未成年者控除の額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき6万円で計算した額です。また、年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。
(例) その未成年者が15歳9か月の人ですと20歳になるまでは4年3か月あります。3か月を1年に切り上げますので、控除額を計算する年数は5年になります。したがって、控除額は6万円掛ける5年で30万円となります
③障害者の税額控除
相続人が85歳未満(注)で障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引きます。
(注) 平成22年3月31日以前に相続又は遺贈で財産を取得したときは、年齢要件が「70歳未満」とされています。
1. 障害者控除が受けられる人
障害者控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。
(1) 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人
(2) 相続や遺贈で財産を取得したときに障害者である人
(3) 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
2 障害者控除の額
障害者控除の額は、その障害者が満85歳(注)になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき6万円で計算した額です。特別障害者については1年につき12万円となります。