相続・資産税コラム
遺産分割がまとまらない場合
相続財産が未分割の場合は各共同相続人が民法に定める割合に従って分割したものとみなして各相続人等の相続税を計算します。
例えば、妻1人子供2人なら、妻1/2、子供それぞれ1/4です。
1 未分割の場合の相続税の計算
相続税の申告と納税は、被相続人が死亡した日の翌日から10か月以内に被相続人の住所地を所轄する税務署に行うことになっています。 そのため、相続財産の分割協議が成立していないときは、各相続人などが民法に定める相続分に従って財産をもらったものとして相続税の計算をし、申告と納税をすることになります。
2 未分割の場合に適用することができない規定
相続財産が未分割の時は、とても有利な特例を受けることができませんので、相続税額は一気にアップします。受けることができない特例で重要なものは下記です。
(1) 小規模宅地等の特例
これは、亡くなった方の居住用財産や事務所の本店ビル、店舗などを受け継いだ方の相続財産評価額を50%~80%減らすことができるという特例です。例えば、1億円のものが2千万の評価額となり、相続税を一気に減らせます。この特例の適用を受けることができないのは、痛すぎます。
(2) 配偶者の税額の軽減の特例
これは、配偶者がいる場合に、配偶者が相続した財産の2分の1か、相続財産の価格が1億6000万円までは、課税しないという特例です。配偶者も、亡くなった方の財産形成に半分寄与していたという発想から設けられており、これが適用されないとなると、すぐに相続税額は2倍以上に膨れ上がります。
3 未分割財産が分割された場合
民法で定める相続分で申告した後に、相続財産の分割が行われ、その分割に基づき計算した税額と申告した税額とが異なるときは、実際に分割でもらった財産の額に基づいて修正申告又は更正の請求をすることができます。
また原則として申告期限から3年以内に分割があった場合には、前記の特例を受けることができます。
相続税額を増やさないために、遺産分割でもめる前に税理士に相談する必要がありますね。